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課題集 サツキ の山

○自由な題名 / 池新
○スポーツをしたこと、たまごを使った料理 / 池新
★体育の時間、とくいなこと / 池新

○地球と月のひっぱりっこ(感) / 池新
【長文が二つある場合、音読の練習はどちらか一つで可。】
【1】「やった! 跳べた。」
 高田さんが跳べたとき、クラス中のみんながざわめきました。高田さんはそのまま動きません。じっと立っています。女子が何人かかけよりました。うれしそうな声をあげながら、高田さんの肩をゆすったり、背中をたたいたりしています。【2】やっと、高田さんが顔をあげてこちらを向きました。
「みんな、ありがとう。」
 とても小さな声で、あまり聞きとれませんでしたが、確かに口がそう動きました。誰からともなく拍手が起こります。パチパチパチパチ。【3】このクラスで最後の体育の授業、ずっと跳び箱を跳べなかった高田さんがついに跳んだのです。クラスの誰もが待ち望んでいた瞬間でした。
 跳び箱の授業は、二月に入ってから始まりました。【4】みんなが大はしゃぎで段を上げている中で、高田さんは何度跳んでも、跳び箱にまたがって止まってしまうのでした。
「まだ、跳べないの。」
と言う人もいました。跳ぶ前に、
「ドッスーン。」
などとからかう人もいました。【5】もし、ぼくが高田さんだったら、とっくに、できないと言って投げ出してしまったことでしょう。
 しかし、高田さんは、あきらめませんでした。何度も何度も挑戦していました。【6】放課後、先生と練習している日もありました。その姿に、それまで冷やかしたり笑ったりしていた人も、だんだん応援するようになったのです。
 やがて体育は次の種目になりましたが、特別に高田さんのために跳び箱が用意されました。【7】高田さんは、毎回黙々と練習していました。クラスでいちばん早く七段を跳べるようになった川上君が、何度もアドバイスしていました。∵
「踏み切りが大事だから。そう、もう一回やってみて。」
 【8】また、女子は声をそろえて、
「惜しい!」
「もう少し!」
と声をかけました。先生の出る幕は、もうないくらいでした。
 チャイムが鳴って、体育の時間が終わりました。みんなで高田さんを取り囲むようにして、体育館をあとにしました。【9】高田さんの顔は、まだ真っ赤だけれど、何だか輝いているように見えました。やればできる。がんばればできないことなんかない、という声がどこからか聞こえてくるようでした。【0】

(言葉の森長文ちょうぶん作成委員会 φ)∵
 地球と月のひっぱりっこ――みち潮とひき潮――

 【1】春になると、みなさんのなかには、おとうさんやおかあさんにつれられて、潮ひがりにいく人もあることでしょう。
 潮ひがりは、たのしいものですね。
 【2】ふだん水のあるときには、貝がみえないのに、潮がひくと、くまでで、ちょっとかいただけで、いくらでも、貝がでてくるのですからね。
 海の水は、へいきんして一日に二かいずつ、みちたり、ひいたりしています。【3】それは、まるで、海がゆっくりといきをしているみたいです。
 どうして、こんなことがおこるのでしょうか。
 潮のみちひは、月や太陽が、海の水をさかんにひっぱるために、おこるのです。
 【4】地球の運動のところで、引力のことをお話ししましたが、地球ばかりでなく、太陽でも月でも、そのほかの星でも、すべてのものはたがいにひっぱりあっています。【5】引力は大きなものほどつよいのですが、近くにあるものは、小さくても、遠くにあるものより、つよく引力をはたらかせます。
 【6】たとえば、太陽の引力は、月よりはるかに大きいのですが、地球からのきょりがずっと遠いので、海の水をひっぱる力は、小さな月のほうが、太陽より二ばい半もつよいのです。
 【7】ですから、潮のみちひは、おもに月の引力のためにおこるとかんがえて、さしつかえありません。
 月のひっぱる力は、近いところにあるものほどつよくはたらきます。【8】ですから、地球の上で、月とむかいあっているところには、月の引力がいちばんつよくはたらき、海の水が月のほうへひっぱられてもりあがり、みち潮となります。【9】これにたいして、地球の上で月と反対のがわにあるところは、月からいちばんはなれているので、月の引力はいちばんよわくなっていますが、ここでは、月とはんたいのほうこうに、地球の遠心力がつよくはたらいているので、月とはんたいのほうへ海の水がもりあがって、やはり、みち潮となります。【0】∵

(「世界ふしぎめぐり三年生」より抜粋)