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課題集 クリ3 の山

◎じゆうなだいめい / 池新

★清書(せいしょ) / 池新

○いちばん貧しい人に / 池新
 「いちばん貧しい人に仕えるため、町に出て行こう。」
何不自由ない生活を送っていたマザー・テレサが、そう決心して修道院をあとにしたとき、持っていたお金はわずか五ルピーのみでした。今の日本のお金にしてみると、およそ百五十円です。たったこれだけのお金でいったい何ができるというのでしょう。しかし、マザーはあきらめません。神に与えられた自分の使命を果たすためにも、あきらめるわけにはいかないのです。
 カルカッタの町には、多くの子供たちが表情もなく座り込んでいました。学校へ通うお金もなく、食べるものも満足になく、ただじっと座り込んでいるのです。
 教育こそが貧しさから抜け出す鍵になると直感したマザーは、すぐさま子供たちを集めて青空教室を開きました。もちろん机もいすもありません。地面を黒板代わりにし、読み書きの基礎から指導していきました。
 その噂はまたたく間に広まり、たくさんの子供たちがつめかけるようになりました。すると、マザーの活動に賛同し手助けをしてくれる強力きょうりょくな協力者が次々と現われました。
 たった五ルピーしか持たないマザーが、その活動を大きく広げていったのは、こうした人々の愛によるところが大きいのです。
 多くの心ある人々に支えられ、マザーなき現在も、マザーの活動はカルカッタの町にしっかりと根づいています。
 私たちはみな、愛を持っています。ただ、十分に人に与える方法がわからないだけなのかもしれません。
「いったい、いつ、まずしい人々の貧困はやむのですか。」
そうたずねられたマザーは、
「あなたと私が分かち合いはじめたときに。」
と答えました。

 言葉の森長文ちょうぶん作成委員会(ω)