課題集 クリ の山
苗
絵
林
丘
昼休みのサッカー/池
池新
【1】今日のお昼休みに、さとし君が、
「サッカーしたい人、集まれ。」
と言ったので、ぼくは、
「はあい。」
と、手を上げながら、さとし君のところに行きました。ゆうや君もたけし君も、
「僕も、僕も。」
と言って、やって来ました。【2】それを見ていた、ほかの友達も集まって来ました。ちょうど十人集まったので、五人ずつに分かれてチームを作りました。
「さあ、急いで校庭に行こう。」
と、僕が声をかけると、ゆうや君が、
「うん、早く行かないと六年生に場所を取られちゃうよ。」
と、大きな声で言いました。
【3】運よく、サッカーコートは空いていました。いよいよ試合開始です。僕は、キーパーになりました。どんなボールが飛んできても、絶対に止めてやるぞと思いました。相手チームには、地元のサッカーチームで活躍しているはやと君や体の大きいまさたか君がいます。【4】早速、はやと君がシュートをしてきました。ものすごい勢いでボールが飛んできます。
「けんと、止めろよ。」
誰かの声が聞こえました。ぼくは、心の中で、
「ヨッシャー。」
と叫び、ボールに飛びつきました。一瞬、はやと君のがっかりした顔が目に映りました。∵
【5】たけし君が、
「けんと、よくやった。」
と、声をかけてくれたので、僕は、
「おお。」
と、手を上げました。
そのあとも何度かボールが飛んできましたが、僕は、必死でボールを止めました。どちらのチームも、なかなか点が入りません。【6】このまま引き分けで終わるかなと思っていたときです。少し遠くにいたまさたか君がいきなりシュートをしてきました。ボールは、ゴールに向かって、一直線に飛んできます。僕は、あわててボールに飛びつこうとしました。【7】指の先がボールに触れたのがわかりました。でも、そのあと、ボールは、すっぽりゴールにおさまってしまいました。相手チームから歓声が上がりました。
ゆうや君が、
「けんと、ドンマイ。大丈夫だよ。僕が絶対に点を入れるから。負けてたまるか。」
と、真剣な顔で言いました。【8】僕は、まるで、ワールドカップの決勝戦に出場しているような気分になってきました。そのあと、ゆうや君は、パスされたボールを、見事な足さばきでゴール近くまで運び、ゴールの右端をねらってシュートしました。【9】相手チームのキーパーは、手も足も出ません。見事なゴールでした。
そのとき、お昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴りました。ゆうや君が、
「勝負は、明日に持ち越しだな。」
とつぶやきました。僕たちは、急いで教室に向かいました。【0】
(言葉の森長文作成委員会 Λ)