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課題集 ケヤキ3 の山

★じゆうなだいめい / 池新
○クリスマス、おおみそか、お正月 / 池新
○しんせつをしたこと、うれしかったこと / 池新

○アライグマ / 池新
 アライグマは、なんでも洗ってしまう動物です。食べ物であろうとなかろうと、身のまわりにあるどんなものも、前足を器用に使って、ざぶりと水にくぐらせてごしごしと念入りに洗います。アライグマが洗わないのは、自分の体ぐらいです。前足は水の中に入れるくせに、水浴びは大きらいなのです。だから、きれいきに見えて、本当はきれいきではないのかもしれません。なんでも洗うという行動も、きれいにするためではなく、遊びの一種だと言われています。
 アライグマが、一生懸命に何かを洗っているすがたは、たいへんかわいらしいものです。昔、「あらいぐまラスカル」というアニメが放映され、日本人の頭の中に、アライグマはかわいらしい動物であるというイメージが定着しました。多くの人が、ペットとして飼ってみたいと思ったのです。そこで、もともと北アメリカにすんでいたアライグマが、ペット用に数多く輸入されました。
 しかし、野生のアライグマは、イヌやネコとはまったくちがいました。小さいころは、人間になつくのですが、大人になるとあつかい方が難しくなります。野生の動物は、自然の中で生きていくために、ある程度獰猛な性質を持っています。アライグマは、気の荒い、ペットに適した動物ではなかったのです。そこで、困った飼い主がアライグマをこっそり捨ててしまうこともありました。捨てられたアライグマは野生化して、畑の農作物を食べあらし、被害が出ました。
 しかし、畑をあらすアライグマが悪いのでしょうか。野生の動物がいちばん幸せに暮らせるのは、もともと住んでいた場所です。遠くはなれた日本に連れて来られたアライグマは、新しい環境で必死に生きていただけなのです。∵
 あつかいに困って捨ててしまう人がいる一方で、アライグマの生態を勉強して、責任を持って飼ってくれる里親を探す活動をしている人たちもいます。私たちは、もっと動物のことを勉強して、動物と人間がおたがいに幸せに暮らせるようにしていかなければならないのでしょう。
「ところで、アライグマさん、本当に獰猛なんですか。」
「どうもう、なあんちゃって。」
「いや、そうじゃなくて。」

 言葉の森長文ちょうぶん作成委員会(κ)