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課題集 カキ3 の山

★自由(じゆう)な題名(だいめい) / 池新
○たいいくの時間、たまごを使った料理 / 池新
○とくいなこと、めだつ人 / 池新

○緑の大地だった砂漠 / 池新
 乾燥した砂漠は、生き物にとっては厳しい世界です。昼はたいへん暑いのに、夜になると急に寒くなります。更に砂漠では、ときどき空が茶色になるほどの猛烈な砂あらしが起きることもあります。
 これほど厳しい環境でも、生き物は住んでいます。植物は、長い根をのばして地下水を吸い上げたり、サボテンのように茎や葉を小さく針のようにして、水分の蒸発を防ぐ工夫をしています。じっとしているだけに見えるサボテンも、ただサボッテいるわけではありません。また、乾季の間はずっと種の状態ですごし、雨が降ると大急ぎで芽を出し、花を咲かせる植物もあります。そのため、久しぶりに雨がふると、景色が一変し、荒れ果てた大地があっという間に緑に変わることがあります。そのような植物は、新しい種を残すと、「よかっタネ」とばかりあとは枯れてしまいます。
 砂漠に住む動物たちも、さまざまな工夫をしています。その多くは、夜行性で、昼間の暑い時間帯は日陰で休み、すずしい夜間に活動をします。オーストラリアの砂漠に住むトカゲの仲間は、体じゅうにあるとげを使って、わずかな雨やつゆを受けることができます。砂漠では、いかに水を効率よく取り入れるかということが重要なのです。
 地球上でいちばん大きな砂漠は、アフリカ大陸北部に広がるサハラ砂漠です。しかし、巨大なサハラ砂漠も、かつて緑の大地だったことがあります。サハラ砂漠の中央の高地の岩壁には、何千年も前の人々がかいた絵が残っています。そこには、カバやゾウ、キリンなど、水辺や草原、あるいは森に住む動物たちと、狩りをする人の姿が描かれているのです。ところが、比較的新しい時代になると、乾燥に強いラクダの姿が描かれるようになります。この土地には、かつて豊かな水が流れていましたが、徐々に乾燥して緑の大地が失われていったことがわかります。∵
 現在でも、サハラ砂漠の周辺では異常な干ばつが起き、今まで緑だった土地が砂漠に変わっています。砂漠は徐々に広がっているのです。アフリカでは、人口の増加に伴って、農地を広げ家畜を増やしてきました。収穫をあげるために、土地を無理に使い、かえって作物のとれない不毛の土地を増やしてしまったのです。また、農地を広げた分、牧草地が減ったのに、家畜の数は増えているため、草はあっという間になくなってしまいます。だんだん乾燥していく気候の変化に加えて、人間の誤った自然利用が、砂漠化を早めているのです。
 砂漠化を食い止め、今ある砂漠を緑の土地にしていく方法を研究している人もいます。運河で水を引いたり、ダムを作ったり、深い井戸を掘って、地下水を利用するなど、さまざまな方法が考えられていますが、ダムができると、栄養分をふくんだ土をせきとめてしまったり、地下水を汲みすぎると地盤沈下のおそれもあります。
 砂漠を緑の大地に戻すのは、簡単なことではありません。しかし、砂漠の自然をよく知り、じっくり計画を立て、私たちは、地球上から緑が減っていくのを防がなくてはならないのです。
 サハラ砂漠が緑の大地だったころの大昔の人に話を聞いてみました。
「昔の砂漠には、カバやゾウやキリンのほかに、どんな動物がいたんですか。」
「さあ、バクもいたんじゃないかなあ。」
「それでは水飲みは混んで大変だったでしょう。」
「だから、割り込んでくる動物にはよく言ったものさ。『サア、バックバック』」

 言葉の森長文ちょうぶん作成委員会(κ)