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課題集 カキ3 の山

○自由な題名 / 池新
○としょかんに行ったこと / 池新
★清書(せいしょ) / 池新

○動く大陸 / 池新
 地球の表面の七割は海です。陸の地形は簡単に見ることができますが、海の中の地形は見ることができません。長い間、海底の地形はなぞにつつまれていました。しかし、二十世紀になって、深い海の中を調べる技術が発達しました。たとえば、海の底に音波をぶつけて、はねかえってくる時間のちがいから、海の深さを測る方法が考え出されたのです。こうして、しだいに海底の姿がわかってきました。
 海底の地形図を見ると、陸地以上に大きな山や谷がたくさんあることに驚かされます。陸上の山脈とはまったくくらべものにならないほど、長い山脈が続いていたり、深い谷が何本もきざまれている場所もあります。海底は、山あり谷ありなのです。なぜ、海の底はこのような地形になっているのでしょう。
 地球の中心からは、いつも熱いマグマが上昇しています。マグマは、地殻を引き裂いて新しい海底を作ります。海の山脈、つまり海嶺は、新しい海底が生まれ出ている現場です。また海の谷、つまり海溝は、海底が地球の中心に沈みこんでいる場所です。海嶺も海溝も、たいへん地震の起きやすい場所です。
 地球の表面は、十枚以上の板に分かれており、それぞれが異なった方向にゆっくりと動いています。そのスピードは、一年に数センチメートルほどです。海底も陸地も、このプレートと呼ばれる板の上に乗って少しずつ動きます。これをプレートテクトニクス理論と言います。舌をかみそうな名前なので、テクトウ(適当)に読みたくなってしまいます。
 プレートが他のプレートとぶつかる場所はどうなっているのでしょう。そこでは片方のプレートが新しく生まれ出ており、もう片方のプレートがその下に沈みこんでいます。海底の山や谷は、プレートが動くときに大きな力がかかってできる傷のようなものです。∵まさに地球は生きているということがわかります。
 陸地が動いているのではないかということを最初に考えたのは、二十世紀の初めのウェゲナーという人でした。彼は、世界地図を見ているとき、陸地をはさみで切り取ってジグソーパズルのように合わせてみると、ぴったり合うことに気がついたのです。アフリカ大陸の西と南米大陸の東の海岸線など、驚くほどうまく重なります。このふとした思いつきから、考え出されたのが大陸移動説です。大昔の地球にはパンゲア大陸と呼ばれる一つの巨大な大陸があり、これがいくつかに分かれて移動し、現在のようなたくさんの大陸になったという考え方でした。
 しかしウェゲナーは、なぜ大陸が分かれて動いていったのかということまでは、うまく説明できませんでした。そのため、当時の学者たちは大陸移動説に疑問をいだいていました。また、自分たちの生活の基盤である大地が動くという考えは、人々の反発を買いました。ウェゲナーは化石調査などを行ない、その証拠を示そうとしましたが、グリーンランドを探検中に遭難してしまいました。
 ウェゲナーの死後、いったんほろび去ったかに見えた大陸移動説は、プレートテクトニクス理論とともに復活することになります。世界地図を見てふとひらめいた考えが、数十年の時を経て真実であるとわかったのです。
 ウェゲナーが今も生きていれば、きっとうれしゲナー顔をしたでしょう。自分の正しかったことが証明されて、ウェゲナーはうれしなきをしたかもしれません。「ウェーン。」

 言葉の森長文ちょうぶん作成委員会(κ)