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課題集 イバラ3 の山

○じゆうなだいめい / 池新

★清書(せいしょ) / 池新

○クマノミの知恵 / 池新
 【1】脊椎動物のほとんどは、生まれたときから性別が決まっており、途中で変化することはありません。ところが、同じ脊椎動物でも、魚には、オスがメスへ、メスがオスへと変化したり、生まれながらにして雌雄同体のものがあります。
 【2】オスからメスへ変化するものとして代表的なのは、クマノミの仲間です。クマノミは、毒を持つイソギンチャクと一緒に暮らすことで有名です。【3】ひとつのイソギンチャクに、オスとメス一匹いっぴきずつの成魚と、体の小さな幼魚の数匹で暮らしていることが多いのですが、この成魚と幼魚の間に、親子関係はありません。クマノミの稚魚は、卵から孵化すると、すぐに生まれたイソギンチャクを離れ、しばらく海の中で浮遊生活を続けます。【4】そして、全く別のイソギンチャクにたどりつき、そこで元から住んでいる縁もゆかりもないクマノミたちと共同生活を始めます。これは、親子で繁殖してしまう危険をさけるための工夫です。
 【5】同じひとつのイソギンチャクの中に暮らしているクマノミたちは、体の大きさに違いがあります。群れの中でいちばん大きいのがメス、次に大きいのがオスです。【6】三番め以降の魚たちは、オスでもメスでもない未成熟な個体です。卵を産むのはメスですが、その卵を守るのは、おもにオスの役目です。【7】何らかの原因で、いちばん大きいメスが死んでしまうと、オスが性転換をしてメスになり、オスの次に大きい未成熟な個体がオスになって繁殖に参加します。クマノミの世界には、このようにきちんとした秩序があります。
 【8】なぜいちばん大きい個体がメスになるかというと、メスは体が大きいほどたくさんの卵を産むことができるからです。

【9】「わたし、昨日までオスだったメスで、名前はクマオよ。」
「ぼくは、今日からオスになった、名前はクマコなんだ。」
「何だか、呼び方にクマっちゃうね。」

 言葉の森長文ちょうぶん作成委員会(π)