昨日582 今日563 合計160388
課題集 ヒイラギ3 の山

○自由な題名 / 池新


○くたびれた思い出 / 池新
○科学の進歩 / 池新
 科学の進歩、生活水準の向上、人口の増加など、さまざまな原因によって、二十世紀後半の地球には、急速な汚染、破壊がはじまりました。(中略)
 地球は昼間、太陽光によってあたためられ、夜間その熱を上空に放射しています。こうして、バランスがうまくとれているために、いくら太陽の光を受けても、地球上が灼熱地獄になることはありません。この放射は、赤外線と言う波長の長い、目に見えない光によっておこなわれます。(中略)
 ところがいま、夜間に放射されるべき赤外線が、温室効果ガスによって吸収され、地球に残ってしまうため、地球の温暖化がおきているわけです。(中略)
 それでは、地球温暖化するとどうなるか。おそらく、南極の氷がとけて、オランダのような海抜の低い土地や島は海に沈んでしまうでしょう。もっとも、旧ソ連のように、かなり寒い国にとっては、少しくらい温暖化したほうが良いという考え方もできるでしょう。しかし、もっとも注目すべきことは、温暖化で砂漠化が進行し、これらの地域に住む人たちは、干ばつによる飢餓状態に追いこまれてしまうということです。
 温室効果ガスの中で、二酸化炭素はもっとも身近なものです。二酸化炭素は、自動車の燃料や暖房の燃料として、毎日わたしたちが使っている石油やプロパン、天然ガス、あるいは石炭などの、いわゆる化石燃料から大量に放出されています。
 もともと、これらの化石燃料は、生物の死がいからできたものです。石炭は樹木から、石油やガスはエビなどの小さな動物からできたといわれています。これらの、化石燃料のもととなる生物は、空気中の二酸化炭素が循環しているだけのことだ、ともいえるでしょう。しかし、問題はそのスピードなのです。
 地球の内部に、化石燃料としてたくわえられた二酸化炭素は、何億年、いやそれよりももっと前にたくわえられたのかもしれません。いずれにしろ、徐々に地球の中にたくわえられ、大気中の二酸化炭素濃度は長い年月のあいだ、約三百ppm強で、平衡状態にありました。そして、その状態で生物は進化し、増殖し、発展して∵きたのです。最近になって、きわめて急速に二酸化炭素濃度は増加してしまいました。そのため、地球の植物や海は、空気中の二酸化炭素の増加した分を吸収しきれずにいるのです。
 また、いっぽうでは、ブラジルやインドネシアなどを中心に、熱帯雨林の伐採が急速に進み、地球上の緑が減少しています。これでは、二酸化炭素はますます増えつづけるという、悪循環におちいってしまいます。(中略)
 そこで、わたしたち親子は、あることを実行にうつしました。すなわち、すでに述べた中国の沙漠をポプラで緑化する事業です。
 植物は、葉の気孔から空気中の二酸化炭素を吸って、光と水を使って光合成をおこないながら大きくなります。だから、温暖化の原因の二酸化炭素をポプラに吸わせてしまおうというわけです。そして、緑化されポプラの林に囲まれた中で農業をおこなうのです。
 少なくとも、沙漠にポプラを植えて、地球を助けることは、それほどむずかしいことではありません。沙漠にスコップで穴を掘って、二メートルほどに生長したポプラの苗を植えてやればよいのです。だれでもかんたんにできることなのです。
 八十七歳のわたしの父は、いまでも中国の沙漠に、ポプラを植えつづけています。今度は、若い、みなさんの番です。

(遠山征雄まさお「世界の沙漠を緑に」)