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課題集 エニシダ3 の山

★じゆうなだいめい / 池新
○新学期、冬休みの思い出 / 池新
○けんかをしてしまったこと / 池新

○ペンギン / 池新
 ヨチヨチとおぼつかない足どりで歩くペンギン。小さく、短い足で支えられた体を右に左にゆすりながら歩く姿はまるで歩き始めたばかりの人間の赤ちゃんのようです。そんなペンギンですが、ひとたび水の中に入ると、今までの愛らしい姿は一変し、つばさをはばたかせ、魚のようなスピードで優雅に泳ぎます。まるで水の中を飛んでいる飛行機のようです。
 空を飛ぶことのできる鳥とできない鳥のちがいは、骨と羽にあります。空を飛ぶことのできる鳥には、竜骨突起とよばれる大きな骨があり、その骨で翼を動かす大きな筋肉を支えています。一方、ダチョウのように飛べない鳥には、この骨はありません。しかし、空を飛ぶことのないペンギンには、竜骨突起があるのです。これはペンギンの祖先が昔、空を飛んでいたことを意味します。
 では、なぜペンギンは空を飛ばなくなったのでしょう。大昔、空を飛べる鳥だったペンギンは、水面から食べ物を取っていましたが、やがて海中にもぐってオキアミ、イカ、イワシなどの魚を捕るようになり、今の姿に進化したと言われています。
 また、空を飛ぶためには軽くて大きく、根元がまっすぐな羽根がたくさん必要ですが、水中の生活を選んだペンギンにとってじゃまになるだけなので、かたくて短く、羽根の根元が曲がって、体にぴったりそった一枚の板のような羽に変わったのです。ペンギンはこの羽を使って、オールでこぐように泳ぎます。
 ペンギンの体には水の中で生活する工夫がたくさんあります。イルカのような体型は、水の抵抗を小さくし、高速で泳ぐことを可能にします。くちばしと舌には、のどのおくへ食べ物が流れるようにつきでたのこぎりのような部分があります。つかまえた魚などが口から逃げないようにするためです。耳は、高速で泳いだ後に作られるあわのはじける音が魚などにぶつかって出る反射おんを∵聞いて、食べ物の位置が正確にできています。羽毛は、水を通さないダイビングスーツの役目をするというからおどろきます。
 けれども、このダイビングスーツの役目をするのは、いちばんうえの羽毛だけです。いちばんうえの羽毛が抜けると、そこから水が入り、体がぬれてしまいます。ですから、羽毛がはえかわる季節は、海に入ることができません。
「う、もう! 早く着替えが終わらないかしら。」
 新しいダイビングスーツがはえそろうまで、がまんしているペンギンの声が聞こえてきそうです。

 言葉の森長文ちょうぶん作成委員会(Ω)