昨日322 今日500 合計147858
課題集 エニシダ の山

★じゆうなだいめい / 池新
○節分、マラソン / 池新
○まめまき / 池新

宇宙のひろがり / 池新
 【一番めの長文は幼長の一~三月のものを再掲しています。】
【1】いまから五千年くらい昔のことです。文明がさかえはじめたころの人々は、夜空を見上げて、宇宙というのは、自分たちの住んでいるこの地球だけだと思っていました。【2】きらめく星は、空という高い天井にはりついているもので、太陽も月も、空にはりついて動いて行き、しずむと地面の下を通ってまた東にいくと考えていたのです。
 ギリシャ時代になって、宇宙のしくみが考えられるようになりました。【3】二世紀ごろに活躍した天文学者プトレマイオスは、天動説という考えを唱えました。それは、地球が宇宙の中心にあって、そのまわりを太陽や月や惑星がぐるぐる回り、いちばん外側に恒星があるという考え方です。【4】まだ、望遠鏡も発明されていない時代のこの考え方は、その後千年もの間人々に信じられました。
 十六世紀になって、地球が宇宙の中心という考え方に異議を唱えたのは、ポーランドの天文学者コペルニクスでした。【5】コペルニクスの考え方は、宇宙の中心は太陽で、地球と惑星は太陽のまわりを円形の軌道にそって回っているというものでした。地球の方が動いていると考えられたことから、地動説と呼ばれています。
 【6】はじめて望遠鏡を使って星を見たのは十七世紀、イタリアのガリレオ・ガリレイでした。ガリレオは望遠鏡によって、月のクレーターや太陽の黒点などをつぎつぎと発見しました。
 ニュートンが「万有引力の法則」を発見すると、惑星の動きはもっと正確にわかるようになりました。【7】万有引力の法則では、すべてのものはたがいに引き合っていると考えられました。そこで、月と地球、地球と太陽もたがいに引かれ合っていて、まわりを回ることができるとしたのです。しかし、その時もまだ、宇宙の中心は太陽で、宇宙とは太陽系のことでした。∵
 【8】十八世紀になり、イギリスの天文学者ハーシェルによって、宇宙は恒星の世界までひろがり、銀河系というものがわかるようになってきました。私たちの地球の位置が、銀河系の中のひとつになったのです。
 【9】二十世紀に入ると、すぐれた技術の望遠鏡が次々と開発され、恒星までの距離を測ることができるほど高性能になりました。この観測のおかげで、銀河系の大きさも、銀河系の中のさまざまな天体のことも、そして銀河系以外の銀河、さらに宇宙全体のすがたまでもがわかるようになってきたのです。
 【0】人間の見る世界は、どんどん広がっていきます。やがて宇宙の大きさも超えて広がっていくのかもしれません。

 言葉の森長文ちょうぶん作成委員会(μ)∵
 【1】二月三日みっかは節分です。ぼくたちは豆まきをしました。
「鬼は外、福は内。」
と、元気よく大声をあげました。パラパラと豆が散らばります。おもしろくてどんどん投げました。ベランダから外に投げるときは、ちょっとだけ声を小さくしました。【2】どうしてかというと、夜なので大声をあげると近所迷惑になるからです。
「豆の片付けはチップにやらせるからじゃんじゃんまいていいよ。」
と、お母さんが笑いながら言いました。チップというのはぼくの家の犬です。【3】まいた豆は食いしんぼうのチップがきれいに食べてしまいます。
 豆まきのあと、ぼくがお父さんとお母さんにとしの数だけ豆を配りました。
「お父さんは三十一歳だから三十個ね。はい。」
そう言ってお父さんの前に豆を置きました。【4】お母さんには、
「はい、お母さんは三十四個ね。」
と、三十四個数えました。
「いいなあ、こんなにいっぱい。」
と、ぼくがうらやましそうに言うと、
「いいでしょう。」
と、お母さんはにっこりしました。【5】お母さんが、
としの数だけとって食べるんだよ。」
と言うので、ぼくと弟たちは自分で豆を取りました。ぼくは六個でリョウタは五個。キョウタは四個のはずでした。でも、ぼくはキョウタが四個以上口に入れているのを見てしまいました。【6】キョウタのやつ、それじゃあぼくより年上じゃないかと思いました。リョウタはちゃんと五個だけ食べていました。ぼくも六個だけ食べました。ぼくとリョウタは真面目だなと思いました。∵
 みんなに配ってからもまだ豆は残りました。【7】残った豆はぼくが作った紙の箱に入れてテーブルの上に置いておきました。その豆を、お父さんが食べていました。次から次へと豆を口に放り込んでいます。まるで豆の方からお父さんの口にふっ飛んでくるみたいです。【8】おもしろそうなのでぼくも真似してばくばくと食べてしまいました。だからぼくもとしの数よりも食べてしまいました。どうしてとしの数だけ食べるのかなあと不思議に思いました。豆がきらいな人はどうするのかなと心配になります。【9】としの数だけ食べるのじゃなくて、はじめから好きなだけ食べることにしたらいいと思います。
 ふと、おじいちゃんとおばあちゃんの顔を思い出しました。
「じいとばあは六十個も豆を食べたのかな。」
と、お母さんに聞いてみました。【0】お母さんは、
「さあ、どうかな。今度、電話で聞いてみたらいいんじゃない。」
と言って笑いました。

(原作 しゅんのすけ 編集 言葉の森長文ちょうぶん作成委員会 ω)