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課題集 アカシア3 の山

★自由(じゆう)な題名(だいめい) / 池新
○料理(りょうり)を作ったこと / 池新


○日本で生まれたハト時計 / 池新
 一時間ごとにハトが小窓こまどから顔を出して「ポッポポッポ」と可愛らしい鳴き声で時刻を知らせてくれるハト時計どけいは、人気があります。カラクリ時計どけいの元祖とも言えるこのハト時計どけいですが、じつはこのハト時計どけい日本にほんだけのものです。ハト時計どけいは、昭和の初期にドイツから日本にほんに入ってきたカッコウ時計どけいがもとになっています。日本にほんに入ると「カッコウ」から「ハト」に変身してしまったのは、どうしてでしょうか。
 カッコウ時計どけいが最初に作られたのは、森の多いドイツでした。この地方では冬になると雪で閉ざされるため、家の中で作業のできる木工作りがさかんで、「森のモミの木に止まって鳴くカッコウの姿」を時計にあしらいました。
 そして、このカッコウの姿のある時計に、鳴き声がつくようになりました。最初に考えられた鳴き声は、にわとりのものでした。コケコッコーでは、目覚ましにはなりそうですが、かなりにぎやかな時計になります。評判があまりよくないために、カッコウの鳴き声にもどすと、それが大当たりになり、カッコウ時計どけいが完成しました。
 そして、日本にほんに掛け時計としてカッコウ時計どけいが輸入されました。今の時代でもそうですが、掛け時計というのは、家を新築したときやお店ができたときに贈り物として使われることが多いようです。つまり、縁起の良い時計だったのです。ところが、カッコウ時計どけいの場合、カッコウという鳥の名を漢字で書くと閑古鳥となります。閑古鳥とは、日本にほんでは「閑古鳥が鳴く」といって寂しく商売などが流行らない様子を意味する言葉でした。そこで、日本にほんで売るときにカッコウ時計どけいからハト時計どけいに変身したのです。また、カッコウの色は灰色で、白色しろいろのハトに比べるとやや地味でした。ハトは平和のシンボルにもなっていたので、カッコウよりもハトの方が人気があったのです。∵
 カッコウはドイツではカッコウよかったかもしれませんが、日本人にほんじんのハートをつかんだのはやはりハトだったのです。

 言葉の森長文ちょうぶん作成委員会(μ)