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課題集 アカシア3 の山

○世界初の切手/ 池新
 世界でいちばん初めに切手ができた国は、イギリスです。それは、今から二百年近く前のことでした。
 当時、イギリスにはすでに郵便の制度はありましたが、手紙の重さと送る距離によって、値段が変わっていました。つまり、重いものを遠くへ送るほどたくさんのお金を払わなければならなかったのです。また、その料金も、受け取った人が払う仕組みでしたから、受け取りを拒否する人もたくさんいました。なかには、からの封筒を送り、家族に受け取りを拒否してもらい、自分が元気なことをただで知らせる人もいたそうです。
 ここに登場したのが、「近代郵便制度の父」と呼ばれるローランド・ヒルです。彼はその時、郵便の仕事をしているわけではありませんでした。しかし、郵便を前払い制にして、料金を安く、またどこへ出しても同じ金額にすることを提案したのです。
 こうして、世界で最初の切手である一ペニーの「ペニー・ブラック」と、二ペンスの「ペンス・ブルー」という二種類の切手が作られました。どちらも、当時のイギリスのビクトリア女王の横顔が描かれています。
 この切手は、世界で最初の切手だったため、イギリスの国名は印刷されていませんでした。その後、この新しい郵便制度はヨーロッパじゅうに、そして世界中に広まりました。しかし、イギリスだけは現在でも、切手に国名を印刷していません。これは、世界の先頭をキッテ、最初に切手を作ったという、誇りがあるからです。
「ヒルさん、切手を最初に作ったときは、どんな気持ちでしたか。」
「うまく行くかどうかわからないので、どきどキッテしました。」

 言葉の森長文ちょうぶん作成委員会(τ)