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課題集 黄ツゲ の山

○自由な題名 / 池新
○未来 / 池新

○「広告は」を読んで / 池新
★愛、それはまさに(感) / 池新
 愛、それはまさにぼくたちよりも進んだ世界の根本指針でもあるんだ。だから、あの世界では人生を「わたしたちみんな」という立場からとらえているのに対して、地球ではただ「自分」だけが重要なことなんだ。
 ざんねんながら利己主義は、ぼくたちのもっとも自然なふるまいだ。ぼくたちの生活スタイルはすべてそこから生みだされている。「競争」という一見上品な言葉であらわされてはいるけれども、これはたんに先史時代的な「密林(ジャングル)の法」でしかないんだ。この有名な「競争力」という「文明」のモーターにぼくたちの生活スタイルは動かされているというわけなんだ……。
 でも、宇宙の文明世界はもうとっくに先史時代を卒業している。そこでは共有はあるけれど、競争はない。
 そのために、そしてそのほかの理由もふくめて、宇宙の文明世界は、ぼくたち人類をまだ文明化した、進化したものとはみなしていない。彼らにとって、ぼくたちはどっちかというと、一種の原始人のようなものだけれど、ぼくたちは自分たちのことを、いつも「現代人」だと考えている。きっと十三世紀のひとたちだって、そうだったろうし、いつどの時代のひとたちだっておなじように考えていただろうけれどね……。
 (中略)
 ここ地球では、ほんとうにつじつまの合わないことが起こっている。それこそほんとうに非論理的なことだ。どうしても人たちの考え方に変化がおこらないかぎり、この世界がよいほうに変わるのはやさしいこととは思えない。
 でもアミは、大さんじを起こすことなく変えるほうが、ずっと理想的だという。
 そして、アミはそれに少しでも貢献するために、ぼくにひとつの使命をあたえた。そうしてぼくは、ぼくたちがずっと進んだ世界のひとたちみたいに生きるためにはどうしたらいいのか、ごくごく初歩的なことだけれどとってもたいせつなことについて本を書いた。もう前にも言ったことだけど、別のもっと高い世界では、すでに「宇宙の基本法」つまり「愛」にのっとっていて、愛にみちびかれている(これもぼくの人生にさしこんだ大きな光だった――もちろん地球からじゃない)。それはとても単純明快で、すべての人々にとってより大きな幸福や、利益につながるものなんだ。
 この手の話って地球では「みょうにロマンチックで、精神的」に思われがちだけど、あの光りかがやいた世界では、研究所や大学で特別に研究されているし、精神向上のための活動もさかんだ。だって、あの世界では精神性と科学とは同一のものであり、すべてが愛に依存しているということを、みんなが知っている。だけど、ここ地球では、すべての「価値」はみな株や銀行いわゆる経済(かね)しだい……つまり、人類の運命、ぼくたちの未来、そしてすべての宇宙の生命は市場の法にゆだねられている……というわけなんだ。
 こうして、ぼくたちの美しい、そしてお金が大好きな目のくらんだ宇宙船地球号は、銀河系をゆっくりとまわっている。
 どんな手を使ってでも手に入れなきゃいけない(と思いこんでいる)――お金、お金、お金!!みんなが目を血走らせて競争ばかりしてるんだ。自分たちの実入りさえよければほかのひとたちの人生や豊かな生活、自然の保護、地球の未来なんかはどうでもいい。
 ぼくたちの地球を支配しているそうした哲学の結果は、火を見るよりあきらかだよね。大多数の人々は、幸せから遠いところにいるか、食べるものがないか、人生を楽しむ時間がない。
 汚職のないところなんてないし、暴力や犯罪は増えるばかりで、研がれたつめや牙は隣人にむけられ、町には錠前や鉄格子や拳銃やかべが増え、まずしい人々と富んだひとたちの差は日ましにひろがっている。そしてうまみのある「ビジネス」が、ぼくたちの惑星を汚染し、破壊していく。
 人類にとっての必要なものとか、深い意義はどこへいったの?
 ほんとうの友情とかやさしさ、親切心とか愛情はどうなったの?このまま進んでいったら、どんな未来が待ってるっていうの?
 でも、考えてみると、いまぼくが言ったことって、一文の得にもならないことばっかりだ。
 ここでは人々とはたんに「生産するための機械」で、「消費者」で、自然とは「商品」でしかないんだから……。
 「もしあなたが、こちらの利益をもたらすなら、わたしはあなたに親切に、そしてほほえみかけましょう。でもそうでないなら、早くオレの視界から消えうせろ」………こんなふうにこのままつづけていったら、ぼくたちみんな絶滅してしまう、そしてほんとうはそんなこと、だれでもよくわかっている。でも、すべてはまったく、おなじまま……。
 
 「すべての答えは自分にあった」(船井幸雄著・徳間書店)の中で引用された「アミ・三部作」(エンリケ・バリウス著・石原彰二訳・徳間書店)より