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課題集 黄サツキ の山

○自由な題名 / 池新
○地域社会 / 池新


★いま、マネー経済の世界で(感) / 池新
 いま、マネー経済の世界で一番活躍し、一番儲かっているのは、アメリカである。
 先に述べたように、アメリカの市場は時価総額で四〇〇〇兆円、日本は四〇〇兆円である。資本の規模が、とても比べものにならない。
 しかしながら、アメリカのお金の所有権者は誰なのか、お金の出どころを考えてもみてほしい。もともとは全部日本のお金、日本から流出したお金だったのである。
 アメリカは、日本のお金である八〇〇兆円の大部分をほとんど自在に利用しているといっても過言ではない。
 もともとアメリカにお金はなく、世界のマーケットから、アメリカにお金が集まってきているだけである。
 もとは世界中の人がオーナーだったお金が、アメリカにきて、アメリカの国内を動き回っているだけである。アメリカは他人のお金を運用しているだけである。
 日本とアメリカを比較してみると、アメリカはお金がなくて他人のお金を運用して儲けているのに、日本は世界の大半のお金をもっているが運用をしない。
 世界の大半のお金をもっている日本人は、アメリカ人に負けないように、自分の意志でそろばんをはじく勉強をして、お金の運用の仕方を覚えなければならない。
 そういう日本人と、他人を騙してまでも、必死になってお金をかき集めて運用しなければならない国と、比較してみてほしい。
 向こうは政治的圧力をかけて金利を引き下げたり、あるいはマフィアみたいなものを手先に使ってヘッジファンドを作ってみたり、とにかくありとあらゆる限りの手練手管を使って、他人のお金を呼び込むのに血眼になってきた。
 アメリカはそうやって集めた、他人さまのお金を運用しているのである。
 日本では、他人さまを脅迫したり、金利政策を強制したり、ジョージ・ソロスなどに金融マフィアまがいのことをさせなくても、もともと自分のところに資金があるのだから、本来、なんの問題もないため、金融テクニックに長ける必要がなかった。
 これが重要なポイントである。
 だから、これから私たちがやらなければならないことは、アメリカに負けないように資金運用の技術や金融の世界、マネー経済の世界のメカニズムを勉強することである。勉強して、アメリカに負けないような「そろばん上手」にならなければならない。日本人だけが、「そろばん片手にお経を読む」能力をもっているのである。
 そうしたら今度は、日本の意志で、つまり、まさに日本の主権で世界中のお金を運用することができる。
 日本が、世界中のお金を自由に運用するようになったら、すなわちアメリカの国債でもなんでも自由に売り買いできるようになったら、アメリカは日本にいつ、何をされるかわからないから、おちおち寝てもいられない状態になってしまう。
 そうなったとき、日本は完全に自分の意志によって、改めて独自の日本の憲法を作ればいいのである。
 いま日本はアメリカと同じ憲法をもっているが、これは基本的には、他国の経済主権を奪うことが許される内容の憲法である。奪うことはないといっても、法的には他国の主権を奪うことが可能である。
 日本は、奪うことが基本のいまの憲法に代えて、正反対の与える憲法、つまり世界に貢献することを国是とする憲法を制定するのである。
 よその国のお金を奪わない、よその国の国債を売って潰したりしない、他国の国債をどんどん買い入れて合法的に助けてあげるという憲法を作るのだから、アメリカもさぞかし安心するだろう。
 私は二〇〇五年を目途と考えているが、この与える憲法を制定するまでの過程で、日本は自分のもっているお金に関してアメリカに負けないくらいそろばん上手になっていなければならない。

 「おカネがお金を産む時代」(増田俊男)