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課題集 黄サツキ の山

○自由な題名 / 池新
○服 / 池新


★私自身はお金儲けを(感) / 池新
 私自身はお金儲けを汚いとか、悪いことだと思っていないが、日本人の美徳という価値観からすると、お金儲けはあまりいいイメージではない。
 株や為替でほとんど電話一本で何千万円、何億円と稼ぐような人間は、ろくでもないものとされている。汗水たらして働くことこそ美徳であり、人生そのもののように思う人も多い。
 いや、汗水流して働いて財をなした人でも、どうせ何か悪いことをやってきたに違いないなどと、とんでもない濡れ衣を着せられてしまうことすらある。
 もちろん、日本人の価値観、美徳を捨て、いますぐ資本主義の哲学に従ってお金儲けをしなさい、などというつもりはない。それではまさに、アメリカを筆頭にした資本主義陣営に追従することになる。そんなことはひと言もいうつもりはない。
 私がいつもいっているのは、「そろばん片手にお経を読む」ということである。
 そろばんというのは、欧米人の価値観であり資本主義の考え方、合理主義的な考え方のことである。一方、お経というのは、日本人の価値観であり、精神を重んじる考え方のことである。
 ここに、仮に「実体経済」という島と、「マネー経済」という島があるとしよう。
 実体経済のほうはクリエイティブでなければ、お金儲けができない。むしろ、下手に小理屈をこねずに、クリエイティブでありさえすればいい。
 マネー経済のほう、投機経済のほうでお金儲けをするには、なによりも正しい情報を他人よりも先に入手していなければならない。努力すれば、情報はすぐに取れるようになるだろう。
 どちらも、誰にでも、努力すればできることだろう。
 とはいうものの、本当は、実体経済とマネー経済とどちらに身を置いたほうが、効率よくお金儲けするチャンスがあるのだろうか。
 日本で実体経済の側に身を置くならば、一年間のGDP(国内総生産)は約五〇〇兆円だから、一日に換算すると一・三兆円のチャンスしかない。仮に一〇〇パーセント全部自分のものになったとしても、一・三兆円である。
 マネー経済というグローバルな世界の側に身を置けば、少なくても、一日に一五〇兆円のチャンスがある。もしも、全部ごっそりいただければ一五〇兆円、一〇パーセントで一五兆円、一パーセントでも一兆五〇〇〇億円である。実体経済の側で、一パーセント自分のものにしたとしても、たった一三〇億円にすぎない。「たったの……」といって片づけるにはいささか大きな金額だが、かたや一日一・三兆円、かたや一日一五〇兆円である。実体経済とマネー経済の世界は、こんなに違うのである。世界の実体経済の規模、すなわち先進工業国のGDPの合計は約一〇兆円だから、努力をすれば、マネー経済の世界には、一〇倍以上のチャンスが存在する。
 クリエイティブになろうと努力するのも、他人より先に情報をとろうと努力するのも、自分の能力ですることならば、チャンスは等しくやってくる。
 チャンスそのものが等しいならば、どちらの側に身を置いたほうがお金儲けの可能性が高くなるだろうか。自分の周りにあるお金の総額が多いほうが、儲かる率が高いのは当然である。
 チャンスが同じ確率ならば、全体が一・三兆円の世界よりも、一五〇兆円の世界のほうが、儲かったときの儲けが多いに決まっている。「寄らば大樹の陰」という諺があるが、私は声を大にして、マネー経済の世界こそ大樹であると申し上げたい。
 それでは、マネー経済の世界でプラスになるように、すなわちマネー経済の世界で儲けるために、具体的にどういうことを勉強すればいいのか。
 あなたがお金儲けのために努力する時間が、もしも一日一〇時間しかないとするならば、実体経済の側の努力や自分の仕事のための勉強は一時間でいい。残りの時間は、すべてマネー経済のための勉強に費やし、全身全霊を傾けてほしい。
 あなたは、自分の能力をフルに使ってマネー経済の世界のための情報収集、情報の分析、株式の研究、為替の研究、世界経済の研究などに、本業の八倍から一〇倍の時間を費やさなければならない。
 そうして両輪でやれば、マネー経済の儲けを実体経済に回すこともできて、実体経済の世界でも業績が上がる。また、実体経済の余剰利益をマネー・マーケットに投資することで、さらに儲けることができる。
 ただし、マネー経済の世界のほうが実体経済の世界の一〇〇倍くらい儲かることは忘れてはならない。あなたの時間と精力の重点の置き方を再考する必要がある。

 「おカネがお金を産む時代」(増田俊男)