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課題集 黄サツキ の山

○自由な題名 / 池新
○ゴミ / 池新


★基本的にソフトバンクが(感) / 池新
 孫 基本的にソフトバンクが何をしようとしているかというと、「ネット財閥」というのを考えているんです。明治維新のころに日本は、農業社会から工業社会へ変わりました。このとき新しい時代がそれまでと何が違ってどういう方向に行くのかを、一番理解していた岩崎弥太郎や渋沢栄一といった人たちによって財閥が生まれます。
 戦後、財閥解体で非常に悪いものとのイメージが定着してしまいましたけれど、僕は財閥が日本の近代化に果たした役割、産業界に果たした役割はものすごく大きいと思っています。
 財閥がどういう形で発展していったかを僕なりに調べたら、最初に海運業で人とモノのトラフィックを確保した。新しい蒸気機関、汽船という新しいテクノロジーを使って、人とモノのトラフィックを一気に大量に提供した。
 次に金融のトラフィックを提供した。つまり金融業、銀行や保険など、その他さまざまな金融関連の機能を提供して、そして全産業に拡大していった。
 そしてこの二つの基本インフラを活用して、全産業を立ち上げて行く。それをインターネットの上で、まったく同じようにしようというのが僕の基本戦略なんです。
 人類二〇万年の歴史のなかで、農業社会から工業社会になったとき、日本では財閥が生まれたんですね。そして、それが情報社会になろうとしている今、この第二ステージから第三ステージへの変わり際で、僕はもう一回、歴史が繰り返される、つまり、もう一回「財閥」のようなものを興せるチャンスがあると考えています。インターネットの上で、人のトラフィック、金融のトラフィックをおさえ、そして全産業を立ち上げる。この順番でやろうと思っているのです。
 具体的には、まず人のトラフィックですが、インターネット上では人の目玉、アイボール・トラフィックですね。ヤフ1をはじめとして次々に、インターネットの上の人通りの多いところを徹底的におさえていきました。
 最大級のコミュニティサイトであるジオシティーズや、動画のストリーミングで世界ナンバーワンのブロードキャスト・ドット・コム。これは、高速インターネットになると動画が当たり前になりますから重要です。
 それからEメールのメールパブリッシングで世界一のメッセージメディア。その他ジフ・デービスのZDネットなどいろいろありますが、とにかくインターネットの人の流れで世界一を取る。
 次に金融のトラフィックでは、EトレードだとかEローン、ヤフー・ファイナンスやフォレックスバンクなど、今、かなりの会社をおさえていっているんです。これで金融も世界一になった。インターネットの上では。
 これらは実は大変なレベルになっていまして、アメリカのインターネットの人通りに関する部分、アイボール・トラフィックでは時価総額で全体の二五パーセントを占めています。
 金融関連では一位から上位一〇社のうち六社の企業が、全部ソフトバンク・グループです。時価総額では圧倒的です。これはほとんど世の中にまだ認識されていない事実です。あとEコマース。これは第三ステージで今狙ってるところですね。
 竹村 僕はそんなはっきりした数字なしに、冒頭に「世界的」というような言い方をしたけれどおかしくなかったね。
 孫 さらにこれから一〇年間でアメリカのインターネット産業がどうなるだろうという、僕なりの勝手な予測をたてています。今、インターネットが相当大きくなったと思っている人も多いでしょうが、まだ入口にすぎないのです。
 三年前はほぼゼロでしたが、今こうした状況になって、大変だ、すごいことになったと目をむいている人は多いですが、今の状況はまだ入口です。だからソフトバンクはまだ全体のパイが小さいなかで、おさえている段階です。
 ソフトバンクでは、一〇年後を予想し、アイボール・トラフィック、金融のトラフィック、Eコマースやその他で、時価総額に占める割合と、グループカンパニーに対しての持ち株比率の目標を定めています。
 同じように日本の市場についても、一〇年後を見据え、そのなかでどうおさえていくか。結果、ソフトバンクの持ち分を日本のインターネット産業のなかでは、どれくらいまで伸ばすかを考えています。それぞれの分野についてのナンバーワン企業の集合体でありたいと思っていますから、万年ナンバーツーに落ちたらその会社とはさよならです。そういう感覚でグループ内の五パーセントくらいの会社は常に入れ替えたいと思っています。

 「孫正義大いに語る!!」(竹村健一)