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課題集 黄ナツメ の山

○自由な題名 / 池新
○学校、危機意識 / 池新


★百倍(感) / 池新
 今日、私は、自分の価値を百倍にする。
 目標が高すぎるといって、私は恐れない。たとえ、その目標に到達する前に何度つまずこうとも……。つまずけば、立ちあがればいいのだ。人は暖炉の前へ行くときでさえ何度かつまずくものだが、それと同じことである。つまずくことがないように生きるには、這って生きることだ。ちょうど、虫が這うように……。
 私は虫ではない。私はネギではない。私は羊でもない。私は人間である。他人には、粘土で洞窟を作らせておけばよい。私は私自身の城を築くのだ。
 今日、私は、自分の価値を百倍にする。
 太陽は大地を暖め、蒔かれた麦の種は芽を出す。巻物の言葉は、私の人生を暖め、私の夢を現実のものとする。今日、私は昨日より一段優った業績を残す。今日、私は全力を尽くして、今日の山を登る。しかし、明日は、今日よりもより高く登ろう。そして、その次の日はさらに高く……。
 私はもはや、他人を競争相手としない。私の競争相手は、私自身である。私は、私自身の残してきた業績を越えていくのである。
 今日、私は、自分の価値を百倍にする。
 暖かい風は、麦に成熟を促す。そして同じ風が、私の目標を他に宣言せよと促す。私は聞いてくれる人を選び、また、話す言葉を選びつつ、慎重に、しかし高らかに、私の抱負と理想を宣言する。いったん口にした以上、みっともないので、私はその言葉を取り消すことはない。かくて私は、自分自身の予言者になるわけである。
 たとえ人びとは笑っても、とにかく、彼らは、私の計画を聞き、私の夢を知ったわけである。私は、それを成しとげないかぎり、私の面目を守ることはできないのである。
 今日、私は、自分の価値を百倍にする。
 私は、低すぎる目標設定をするという恐るべき過ちを犯さない。
 私は、失敗者がやろうとしない仕事をする。
 私は、つねに、手の届く範囲において、手を広げていく。
 私は、市場における自分の業績に満足することはない。
 私は、一つの目標が達成されれば、さらに、より高い目標を設定する。
 私は、つねに、次の一時間が、今の一時間より高い業績をあげるよう努める。
 私は、つねに、自分の目標を世間へ宣言する。
 しかし、私は、過去の功績については、自分から公表したりはしない。それは自慢になるからである。しかし、世間が、私を高く評価してくれるのなら、私は拒まない。私は謙虚にそれを受けよう。
 今日、私は、自分の価値を百倍にする。
 一粒の麦が百粒になれば、そこからは、百本の茎を生ずる。そして、これを十回くり返せば、その量は、地上のすべての都市を養ってあまりあるほどのものとなる。私は、この最初の一粒の麦以上のものでありえるはずだ。
 今日、私は、自分の価値を百倍にする。
 一つの目標が達成されたなら、私はさらに新しい目標へ向かう。そして、またそれをくり返してゆく。やがて、この巻物の言葉が、私の中に満ち溢れてくるとき、世間の人びとの中に、私の偉大さに対する驚嘆の声が湧きおこってくるのである。

 「地上最強の商人」(オグ・マンデイーノ)より