私は、宇宙最大の奇跡である。
　私は、ほんの偶然で、この世に生まれでたものではない。
　私は、一つの目的をもって、この世に存在している。その目的とは、山のごとく偉大なる者になれ、ということである。一粒の砂のごとく卑小なる者になることではけっしてない。今より私は、自分の潜在能力が悲鳴をあげて、許しを請うほど使ってやるつもりだ。私は、人間についての知識、自分自身についての知識、私の商品についての知識を増やしてゆくことを怠りなく努める。かくて、私の販売量は、つつがなく、増大してゆくのである。
　私は、商品を売るときの言葉を練習し、改良し、磨きをかける。売るための口上は、商いの基盤である。私は、幾多の先輩が、売り口上を駆使しただけで、数多くの客の心をつかみ、巨富をともなった成功へ到達した話を忘れまい。
　私は、つねに行儀作法の改良に努める。なぜなら、蟻は砂糖にひきつけられるが、同様に、人びとは、感じの良い態度にひきつけられるからである。すなわち、人を尊重する態度は、蟻に対する砂糖にほかならないのだ。
　私は、宇宙最大の奇跡である。
　私は、たった今、この瞬間にのみ生きる。仕事に没頭していると他のことは忘れる。市場にあるときは、家庭のことは考えない。家庭のことは家庭に残しておく。同様に、家庭にあるときは、仕事のことは考えない。市場のことは市場に残しておく。これらの二つを分けておかないと、私の思考力は乱れ、私の愛は、じめじめしたものになってしまいがちとなる。
　市場には、家族のいる余地はなく、家庭には商売するための余地がない。この両者は、奇妙なことだが、離婚させておくことによって、その結婚生活は安泰につづくのである。もし、二つを混同させれば、私の仕事は破綻しかねない。これは昔からある教訓である。
　私は、宇宙最大の奇跡である。
　私は見るために眼を、考えるために頭脳を与えられた。
　そして今、私は、人生最大の秘密を知った。それは、人生におけるさまざまな難関は、じつは、成功のための絶好の機会なのだ、ということである。問題、失望、心痛などは、表面上の姿を変えた「ラッキー・チャンス」なのである。
　しかし、私の眼は開かれているので、その偽装された衣装に嘱されることはない。私は衣の下に隠された真実を見ぬくのである。
　私は、宇宙最大の奇跡である。
　野獣、植物、風、雨、岩、湖、どれ一つとして、私と同じようにして生まれでたものはない。なぜならば、私は愛の内に生を受け、目的をもって、この世に送りだされた者だからである。今まで、私は、この事実に気がついていなかったが、今は、この真理を悟っている。この真理は、これからの私を導き、私の人生を築きあげてゆくのである。
　私は、宇宙最大の奇跡である。
　大自然は敗北することを知らない。自然は最終的には、つねに、勝利者として姿を現わす。
　私もこれと同様である。一つの勝利ごとに、私は優れた戦士になる。
　私は勝つ。私は偉大な商人となる。なぜなら、私は、この世で唯一の存在だからである。
　私は、宇宙最大の奇跡である。

　「地上最強の商人」（オグ・マンデイーノ）より