ひとこと(5月4週)
「鯨や象は」を読んで
アジサイの広場
乱月あし高3
 
 鯨や象は、人の「知性」とはまったく別種の「知性」を持っている。水族館に捕
らえられたオルカ(シャチ)が芸をするという行動には、人間の強制によるもの
ではなく、明らかに自分の「友達」である人間を喜ばせようとしている意識があ
る。人間がもつ「攻撃性」の「知性」に対して鯨や象は「受容性」の「知性」、地球
とうまく適応していくためのより高度な知性を持っている。私たちは彼らから
さまざまなことを学んで地球に適応していくべきだろう。
 
 私たちは、中世までは神に頼っていたこの世界の秩序を科学によって解明し
てきた。解明できていないものは非常に微々たる物だ。しかしすべてが合理的
に証明できた反面、環境破壊や核兵器など、地球の存亡をも脅かす物まで開発
してしまった。自らの能力に陶酔し、他者を自らの利益の為に利用する、エゴ
イズムの精神が私たちをこうしてしまったのだ。図に乗っている私たちがその
ことに気づく頃には、すべてが終焉に向かっていることだろう。
 
 極端なエゴイズムや無限の欲望によって、人は他人より勝っていなくてはな
らないようになってしまった。特に日本では幼い頃から競争することに終始し
ている。無理のない教育、そういった意味での自己満足の精神を持つことが今
後必要とされてくるだろう。私も受験戦争の中にいる人間だが、そんな自分に
は非常に多くの疑問を感じている。いっそ海外に留学(逃亡)しようかとも思っ
た。今日紙面をにぎわすキレる少年達は、プライドが必要以上に高くなってし
まった結果なのではないだろうか。
 
 ただ名声が欲しく、人より良い思いをしたいから、というだけで金もうけを
することに私は疑問を感じる。先日税務省からいわゆる「長者番付」が発表され
たが、1位になった斎藤一人氏は実に33億円もの税金を払っていた。本人いわ
く、「念願かなって」のことだそうである。長者番付一位になる、というくだら
ないことのために働いてきた彼を心から哀れに思う。まさに今日の人間の最た
るものだ。
 
 確かに人間の果てしない欲望によって様々なものを解明してきたのは事実だ
。しかしその反面、行き過ぎた開発による諸環境問題なども浮上してきている
。欲望をなくせとは言わないが、控えるくらいのことはできるはずだ。「共存
する」という精神を他の生物から学ばなくてはならない。我思う故に我在り、
そんな言葉はもはや間違いであると断定されてしまうようになってしまった。
皆思う故に我在る、のだ。
 
 鯨や象にできて人間ができないことはない。そこにプライドを持って欲しい