ひとこと
時間
アジサイの広場
T.Oいう高1
 
 時間とは、絶えず流れているものでお金では買えないものの一番の例に挙げ
られる。また時間は、「光陰矢のごとし」という言葉にも示されているように
、あっという間に過ぎてしまうものなので無駄な時間は省いた方が良いという
考え方が現在では主流になっている。しかし、一見無駄と思える遠回りの時間
の中にこそ様々な要素が含まれ、人生の喜びが見出せるのではないか。「無駄
で遠回りな時間」をもっと正しく認識するべきであると思う。
 
 それは、旅行における道のりつまり過程の中に、人間の心に残る要素が詰ま
っているからである。私もこれまで様々な場所に旅行してきて、様々な交通機
関を利用した。確かに飛行機は早く目的地に着ける点では得をしたような気に
なるが、船や列車は比較的遅い速度で進み、その上景色も見渡せるので、見慣
れない景色に出会うことが出来、心の中が好奇心で満たされ、生きているとい
う実感を改めて感じたような気になる。こういう風に考えると、一般には無駄
だと思われる時間は決して無駄ではないと思う。そういった時間を自分から作
ろうとすることが大切ではないか。
 
 それには、結果ばかり求めず経験や過程において得られたことを重視する考
え方を常に意識することが大切である。松尾芭蕉は「奥の細道」で有名だが、
彼は最初からこの作品を書きたくて旅に出たわけではなく、旅路の途中で見つ
けた些細なことで、彼が感動を覚えたものを書き留めているうちに出来上った
のだ。旅に限らず物事には必ず結果と過程がついてまわるが、たとえその結果
が出せなくても過程から得られたものがあれば無駄ではないと思う。
 
 時間は限りあるものだから、ときには効率を考えて行動しなければならない
こともある。しかし、「人が旅行するのは、到着するためではなく、旅行する
ためである」という言葉の通り人間のとる行動というのは、単なる目的達成の
ためではなくそうすることによって人間らしく生きているという実感を得るた
めのものではないかと思う。目的達成ならコンピューターの方が速くできるが
、過程から何かをつかみとることはできない。同じ時間を過ごすならより充実
した時間を過ごしたい。そのためなら少しくらい遠回りしてもいいと思う。