ひとこと
愛国心
アジサイの広場
武照あよ中3
 
 雲の開けたところにくすんだ大地が見えた。私は飛行機の小さな窓からそれ
をみていた。飛行機が高度を下げていくにつれて私の目に映ったものは意外に
も木々であった。何と緑の多いことか。都会ではないからといってしまっては
そこまでだが私はこの時はじめて日本も良い国だなと思ったのである。我々は
近代欧州のものをどんどん取り入れてきた。だが文化にまでも欧州第一のイン
テリ思考が定着している。我々は自国を愛する心「愛国心」を大切にしていく
べきであろう。
 
 国際化とは世界を一つの国にすることではないであろう。それぞれの国が違
うということを前提とした相互理解が国際化の目標である。相互理解の上で他
国のよさを認めていくにはまず自国のよさを知らなければならない。アメリカ
の五十二番目の州と言われる日本だからこそ今自国のよさを知ることが大切で
はないだろうか。
 
 ではどうすれば愛国心を持つことができるのか。一つに国際交流の場に多く
関わることではないだろうか。そこでは時に客観的に日本をみることができる
。他国との違いをすべて悪いとみなすことは愚かなことだ。どんな事にも両面
がある。その良い面を評価していくことが大事であろう。この間長野オリンピ
ックが開催されたが、その開催期間中選手村の落とし物を集めた箱の中に五十
円玉が入っていたという話が新聞で紹介されていた。私はこれを読んだとき幸
せな気分になったものだ。
 
 確かに今国家の枠を超えた地球規模の意識が大切なことも事実である。地球
に住む生き物の一つとして利益を求めていくことで解消されていく問題も多い
。だがアポロの宇宙飛行士が話していたことに次のようなことがある。「船外
作業が一時中断した時、沈黙の中で私は地球との連帯感を感じて涙が出てきた
。」自国を愛する思いは地球を思う思いとなんら矛盾しないと思うのである。
 
 飛行機の小窓から日本を思う心は海外旅行に行った日本人が和食を懐かしく
思う心にも宇宙飛行士が地球を思う心にも通ずるところがあるのではないだろ
うか。愛国心はこれから国際化が進めば進むほど重要な位置を占めてくるであ
ろう。