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清書:アメリカシロヒトリのヒトリ言 エンジュの広場
キティいぬこ小4 アメリカシロヒトリのヒトリ言  

 
 

 ちょうど第二次世界大戦が終わった一九四五年頃、アメリカと日本との間でヒトの移動がさかんになり、アメリカシロヒトリという小さな白いガ
が侵入してきました。  

 私はこの文章を読んで、まず、なぜアメリカシロヒトリに日本の環境が合ったのだろうと思いました。他の虫も絶対に荷物などにくっついて、日
本に渡って来たと思うのです。なぜアメリカシロヒトリばかりが、こんなにお話になるぐらい目立ってしまったのでしょう?外国からやって来た虫だ ったから、初めは天敵がいなかったのかな?  

 日本中の樹の葉っぱがいきなり丸坊主になってしまった!この事件は、日本中をビックリさせたと思います。百種類以上もの葉っぱをいきなりモ
リモリ食べたのです。このことが、アメリカシロヒトリをスター☆にさせた最初のきっかけでした。さっそく、犯人探しが始まりました。  

 「むむっ!この葉っぱの歯形は日本のケムシのものではない!」
 

 えらい学者さんたちがうなりました。 意外にも、これがアメリカから侵入して来たガの幼虫 だと知って、
 

 「なぜこんなに増え始めたのだろう?!さっそく退治しなくては!」
 

 と皆、青くなったことでしょう。
 

 スター☆になった第一の理由は、「何でも食べる元気な子」ということでした。特にサクラが大好きだったそうです。サクラは日本の大事な樹で
す。そのサクラの樹を丸坊主にされたのだから、日本人はさぞおこったことでしょう。  

 ところが不思議なことに、ケムシ退治スプレーなどを研究しているうちに、やがてまた、あまりみられなくなりました。いまではかぎられた地域
で見られるていどです。  なぜあれだけ大発生していたアメリカシロヒトリがだんだん少なくなってしまったのでしょう?それを調べているうち に、三つの深い理由に気がつきました。  

 ①小さいケムシの頃は、集団で網を張るため目立つので、枝ごと切られて焼かれてしまう ②成長すると網から出て活動するため、トリやほかの
昆虫に食べられてしまう ③いいケムシ退治スプレーができたり、樹を見張っているヒトがふえた  

 ということです。アメリカシロヒトリは八百から千個の卵を産んでも四、五匹の子どもが生き残るだけです。ちょっとかわいそう。でも、鳥や強
い昆虫たちにとっては、食べ物が八百から千個も歩いているようなものだから、これはラッキー!というわけです。このように、自然界の自然のお きてで、皆幸せに生きているのです。 ところで、①の理由について詳しく調べていたら、意外な事実にぶつかりました。アメリカシロヒトリの小 さな幼虫は、おいしそうな葉っぱを見つけると、口から糸を出して葉っぱをグルグルまきにします。そして、家(網)と食べ物を同時に手に入れる のです。食べ物がなくなると、またお引越しの始まりです。班長さんが朝早く起きて、おいしそうな葉っぱを見つけます。ケムシの班長さんはこの 時、特別な液を出しながら進みます。後から来る仲間が迷わずついて来れるようにです。さらに驚いたことに、仲間たちは寄り道や抜け出したりせ ずに、一匹残らず新しい葉っぱに到着するのです。どうやら特別な液に、魔法の力があるようなのです。アメリカシロヒトリは私たちにも負けない ものを持っています。それは仲間との絆です。「絆」の漢字の意味のとおり、「糸」を皆「半」分ずつ持っているからでしょうか。   

 幼虫は葉を食べるだけで、樹そのものは害しません。それほど恐ろしい昆虫でないことがわかり、ある先生は「アメリカシロヒトリなんて三流害
虫さ」といいました。 一流害虫のゴキブリに比べれば、有名ではありませんが、嫌われていることは確かです。それに約六十年間、アメリカシロ ヒトリはヒトと戦っていて、しぶとく生き延びているのです。このことから私は、アメリカシロヒトリは、りっぱな一流害虫だと思うのです。 都 会で目立つのは、この幼虫を食べるトリやクモが少なくなったということと、その他にも、もう一つの大きな理由があります。それは、夜に活動す る昆虫という点です。都会ではビルの明かりから家の明かりまで、夜の間じゅう、ずっとキラキラしています。ガになったアメリカシロヒトリはヒ ラヒラと美味しそうな葉っぱのところに行って卵を生むのです。  

 実は、アメリカシロヒトリを増やしているのはヒトなのかもしれません!!  私は虫が大っきらいです。
 

 このアメリカシロヒトリのお話に出会わなかったら、虫なんて一生嫌いだったと思います。 でも、どんどん調べているうちに、おもしろくなり
ました。理科の勉強にもなって、得した気分です。最後に。アメリカシロヒトリは三流害虫じゃない!ヒトとは仲良くできないけれど、虫としては 超一流です。 アメリカシロヒトリは、きっとこう思っているかも。  

 「もう、いじめるのはやめてよね!」って。  
                         
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